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道具の日と付喪神について

  闇夜の平安京を異形の者たちが行列をなし、京の大路を跋扈する・・。
 百鬼夜行の出現のことですが、様々な異形な妖怪たちが描かれた大徳寺に伝わる「百鬼夜行絵巻」は本来恐ろしい姿の妖怪たちが、どことなくユーモラスに描かれていて躍動感あふれる絵巻として知られています。

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真珠庵蔵『百鬼夜行絵巻』伝土佐光信(室町時代)


 その絵巻に描かれた妖怪たちの姿のなかには、おなじみの動物の姿をした妖怪以外に、琵琶の形をした妖怪や鍋や釜、杓子や刷毛など当時の日常品のかたちの化物たちも描かれています。
 これを付喪神(つくもがみ)というのですが、身近にあった道具が妖怪になって化けて出てくる。今回はそんな付喪神の話を。

 東京浅草の浅草寺で行われている針供養会。ここでは使い終わった針に対して人間と同じように供養するという祭りが開催されています。
 いつも固いものばかり刺されて辛い目にあってきたであろうと、最後は柔らかい豆腐に刺して上げることで今までの感謝と苦労を労うのです。

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豆腐に刺された使い終わった針たち


  海外の目から見ると異質に見えるかもしれない、このモノに対する供養。
長く使ってきた道具を人と同じように供養するなんて、日本人らしい考え方ですよね。
 丁重に扱われ、付喪神となったものが、恩を返すなどした伝承もありますが、逆に粗末に扱ったり供養を絶やすと、これまた付喪神となり祟りや災いを起こすとも伝承されています。



山川草木悉有仏性という考え方

 日本では森羅万象に「仏神」が宿るとする世界観が定着しています。から、古いものは石や大木などの自然のものであれ、人工のものであれ、それだけで神聖であり、神々しいとされてきました。
 「山川草木悉有仏性」という言葉もありますが、 森羅万象すべてのものに神聖なものが宿っているという自然崇拝的な考え方は、まわりにあるものすべてに感謝ができて、気持ちを穏やかにすることができますね。

 日本は八百万信仰があったので、あらゆるものに、対応する神様がいて、年月が経つと、物にも魂や神様がやどるとされました。

 憑喪神という考え方もそこから派生したのだと思います。

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 日光滝尾神社の杉の御神木
先代の御神木は倒れたまま放置される習わしとなっている。


 長く使ってきた道具を供養するなんて、日本人らしい考え方ですよね。
 丁重に扱われ、付喪神となったものが、恩を返すなどした伝承もありますが、逆に粗末に扱ったり供養を絶やすと、これまた付喪神となり祟りや災いを起こすとも伝承されています。
 
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百鬼夜行では鍋の妖怪も

 現代では、付喪神になるまで長年大事に使い込む道具など、そんなになくなってきましたが、これもまた便利さと同時に何かを失っているのかもしれません。
 iPhoneやパソコンの付喪神なんて、ちょっと想像もつきません(笑)

 関係があるのか分かりませんが、新しい靴や鞄などを愛用しているものを新たに購入すると、今まで使っていたものが急にくたびれて見える時ってありませんでしょうか。
 役目を終えて、なにかが抜けたような感じがしませんか^^
 車やバイクも愛着ありすぎて、別れがちょっと辛い時ってありますよね。


 管理人の父は、長いこと洋服の仕立て職人でした。ハサミ類も自分で研ぎ、何十年と使用していました。カッターも使用せず、小刀でしたし、高い工具だったと思います。
 愛用していたハサミを手に取ると亡き父の想いが伝わってくるようで、おいそれと粗末にできない感じがしました。
 使い捨ての廉価な道具よりも、愛着のある道具があるということは、それだけで生活が豊かになるように思います。

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海外にも存在するアニミズム信仰

 生物・無機質を問わない全てのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方は、実は日本だけのものではありません。西洋にもこれに相当する考え方としてアニミズムという言葉があります。
chara1.jpg ただ、これは、キリスト教以前の原始宗教の名残りであり、アニミズムを蔑視する姿勢も存在しています。
 しかし、海外の児童文学等にも物同士が会話するものもありますし、映画「カーズ」や、「機関車トーマス」等にも見られるように日本の付喪神に似た話もありますね。

 違いは「無生物に息を吹き込む者」は、神の仕事であり、意図的に吹きこまれたものであるという点が日本とは異なるように思います。
 よく海外から見ると
「日本のように世界の最先端の技術をもった国が、宗教の最も古い姿を有している」と不思議に見えるようですが、ちょっと偏見ですよね。

 日本と西洋の考え方の違いはまだあります。良い例がロボットの考え方であり、日本では鉄腕アトムのようにロボットは人間との協力して社会を構成する仲間というイメージが強いのですが、西洋では、フランケンシュタインを代表するように「人間に害を及ぼすもの」というイメージが強いように思います。「ターミネーター」も、傲慢になった人間社会への警告という感じですよね。

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 それは、命を吹き込むのは神の役割であり、ロボットや人造人間のように人間の姿に似せたものをつくるのは、神への冒涜であるというキリスト教的な概念が横たわっていると思うのです。
 なので、ロボットなるものを作る人間は神への冒涜でいずれ罰が下るのではないかという怖れもあるといえます。ロボットによるオートメーション化が人間の仕事を奪うのではないかという不安も日本に較べて強いように感じるのですがどうでしょう?



日本的アニミズムの考え方が、これからの世界に普及する?

 しかし、これからオートメーション化が進んで、生活に身近になっていくにつれ、西洋社会のロボットに対する考え方も徐々に変化していくかもしれません。それには日本のアニメや文化も一役買うことになるでしょう。日本での成功例が模範となって普及する可能性もあります。
 環境や自然と共存していこうとする日本のアニミズム的な考え方が環境破壊防止にも一役買うことができるのではないでしょうか。

 共にこの地球で共存するものとして自然や環境に感謝し、自分たちがつくった道具も大切に扱う心。こういう精神がこれからのグローバルな社会には必要に思うのです。

 そろそろ色んなものを大事にしないと、大きな規模の百鬼夜行として出てきて人類が祟られるかもしれませんね^^;

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<参考記事>

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