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妖怪を討伐した英雄たち〜その1 酒呑童子と源頼光

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酒天童子とそれを退治する源頼光、渡辺綱

 古来より鬼や天狗、妖怪の存在は、日本人の平和な暮らしを脅かす存在として怖れられていました。
 陰陽師は、呪術などを用いて妖怪を退治する役割も担っていましたが、武家の成立と共に武力で妖怪を退治する英雄たちも現れてきました。今回はそんな鬼や妖怪を討伐した英雄たちの話を。

源 頼光〜大江山の酒呑童子を退治

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 源 頼光(みなもとのよりみつ:右人物)は平安時代中期に生きた実在の人物です(948〜1021)。清和源氏の三代目。
 一条天皇の時代、正暦(990年〜994年)の頃、藤原道長の子息が行方不明になりました。この時京の若者たちや姫君が次々と神隠しに遭っていたのです。
 陰陽師・安倍晴明にその居場所を調べさせたところ、その犯人の正体と居場所を突き止めます。それは京の都の西北、大江山に棲む鬼の首領、酒呑童子の仕業であると。
 朝廷はさっそく鬼神討伐を計画、源頼光と藤原保昌(ふじわらのやすまさ:958〜1036)の二人にその討伐を命じます。

 配下の部下を従えて山伏姿に身を変え、旅に出た二人は、大江山への途中で酒呑童子の洗濯女に出会います。この老婆の案内で、一行は首尾よく酒呑童子らのアジトへ潜入。そこで酒呑童子らと酒を酌み交わすところまで成功します。
 酒呑童子は人間の童子とまったく変わらない姿をしていましたが、頼光が神より授かったとされる毒酒を飲ませたところ、泥酔し寝床に入るなり、その形相を変えおぞましい鬼の姿を現します。
 それを見届けた頼光らは隠していた甲冑を身につけ、酒呑童子の首を切り落とします。童子の首は宙に舞い、断末魔の叫びを上げながら、頼光の兜に噛みつきましたが、やがて最後を遂げました。

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『大江山絵巻』 頼光の鬼退治


 こうして見事、酒呑童子を退治した二人。頼光は東夷大将軍に、保昌は
西夷大将軍に任ぜられることになりました。

頼光四天王

 この源頼光の配下の部下に四天王と呼ばれる武芸達者な人物たちがいました。
渡辺綱(わたなべのつな:953〜1025)、坂田金時(さかたのきんとき:956?〜1012) 、卜部季武(うらべのすえたけ:950?〜1022?) 、碓井貞光(うすいさだみつ:954?〜1021)の四人です。 この四人にも色々と伝説が残されていますが、坂田金時は金太郎の童話で有名な人物ですね。

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歌川国丸画の金太郎

 すべて実在していた人物というところがすごいですが、では、この敵役の酒呑童子とは何者だったのでしょうか。

酒呑童子とは何者だったのか

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大江山の酒呑童子と源頼光主従 (歌川芳艶 江戸時代)

 大江山に棲まう鬼たちの頭目、酒呑童子にもいくつも伝説が残されています。越後国で出生したという話では、酒天童子は絶世の美少年であったという逸話も。多くの女性たちに恋されたのですが、それをすべて断り、恋煩いで死んだ女性たちの恨みによって鬼にされたという話が残されています。鬼となった彼は、各地の山を転々とした後に、大江山に棲みついたとされています。
 こういう話をみると、酒呑童子にはどうやらモデルとなった実在の人物がいたような感じですね。
 この他にも鬼の面が外れなくなって鬼と化した(伊吹山出生伝説)とか、人肉を食べたお寺の稚児が酒呑童子になったとか(大和国出生伝説)、様々な伝説がこの酒呑童子には残されているのです。

 さて、素直に読めば騙し討ちに近いかたちで討ち取られた酒呑童子ですが、その首は不浄とされたので京都に持ち帰ることはできませんでした。一説には、ある場所で動かなくなったとか。一同は動かなくなったとかその首をその地に埋葬したのですが、今でも京都府老の坂という場所に、酒呑童子首塚(首塚大明神)として残されています。

 
 こうした逸話や伝説をみると、盗賊退治の話を、権威付けのために誇張したり、脚色した後が随所に見られます。
鬼や天狗の正体が、渡来人や山伏など、日常では目にすることのない異形の者たちだったのではないかとも言われていますが、酒呑童子も、時の権力に逆らう、反権力の存在、象徴であったかもしれません。

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大江山(Wikipediaより)

→続きます。次回は鵺退治で有名な源頼政を。

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