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傷ついた爆撃機を導いた大いなる力

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第二次世界大戦のアメリカの爆撃機B-17

「空の上の超常現象」という書籍から第二次世界大戦の時の不思議な話を。
 著者であるM・ケイディン氏のとこに寄せられたテッド・セッツァー氏からの手紙からです。

 この方が紹介するロバート・オズボーン軍曹は、1943年にB-17の機銃搭乗員として任務についていました。小柄な体型ということもあり、狭い空間で操作するボール・タレットという球形機銃座の射手として任務につきます。

 このB-17の胴体下部に突き出している球形機銃座は非常に狭く、自分のパラシュートを付けて着座できないほどでした。
 画像下の丸く付きだしているのが球形機銃座で、緊急の胴体着陸の際には切り離されるような構造になってます。
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 最初に搭乗した機体は”リトル・チャック”(当時のB-17乗りたちは自分の機体に愛称をつける習慣があった)でしたが最初の出撃で猛烈な損傷を受け胴体着陸で破棄となり、次に乗ることになった"ラスト・チャンス"も激しい銃撃を受け、名前通りになるとことでした。

 彼は、1943年11月初めの頃、ルール地方のゲルゼンキルヘン爆撃の命令を受けます。編隊を組み、目標に到達し、投弾を完了した直後、敵方の戦闘機の大編隊の攻撃を受けます。

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 彼も機銃座で必死の反撃を行いますが、エンジン2基が被弾停止、気がついた時には仲間の乗員たちが脱出していて落下傘が見えます。
 その数は全部で8つ。B-17の搭乗員は10名ですから彼は取り残されてしまいました。編隊から外れたB-17は、ドイツ戦闘機たちの格好の餌食です。自分も早く脱出したほうがよいと銃座から這い出し、パラシュートを身につけます。

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 ふと、操縦席に目をやるとパイロットが銃撃を受け、うつ伏せに倒れています。しかしまだ少し動いている。負傷しているパイロットを残して脱出するか・・・・・。
 置き去りにする抵抗感で自分を恥じた彼は、狭い連絡通路を歩き操縦席にたどり着きます。
 声をかけるも、パイロットは破片で頭部をやられていて意識を失いかけています。副操縦士は機体を自動操縦に入れて脱出しているので機体は残る二基のエンジンでなんとか飛んでいる状態です。味方の編隊は?と外を探してみると予想通りどんどん遠ざかっていくところです。 

 その時、信じられない光景が現れました。風防ガラスに映るはっきりとした光景は、大きなテーブルを囲んで女性たちが祈る姿でした。その女性たちはすぐに分かりました。彼の母親とその友人たちです。そしてその女性たちの後ろにその息子たちが立っています。その光景の中にはすでに戦死した者もいました。

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 その時、声ともインスピレーションとも言えぬ思いが心に浮かんできました。「このまま戻るのだ!」更に背後に誰かが立っている気配がします。
 一瞬逃げ遅れた仲間がまだいたのかと思い振り返りましたが誰もいません。機内に残っているのは彼と負傷したパイロットだけです。
 この時、もう一度「このまま戻るのだ!」という声と帰る方向を教えてくれました。322度(北西微北)の磁気方位です。
 祈り続ける母親たちの映像、私に帰投を支持する声、そして第三者の人間が立っている気配・・・・。彼は全てを受け入れる決意をします。 
 
 信じられない出来事だと認識はしているのですが、逆らい難い強い指揮官に命令されているようでした。それに従うのが自分の任務だと彼は認識します。それと同時に今まで彼を支配していた恐怖と絶望がみるみる薄れていくのを感じました。
 彼は副操縦席につくと自動操縦系統を解除し、与えられた磁気方位に針路をとります。背後に人の気配は感じていますが振り返ることはしませんでした。 

 途中で案の定、敵の戦闘機たちが襲いかかろうとしましたが、運良く目の前に現れた積乱雲の中に突入することで追跡を振り払うことができました。

 やがてドーバー海峡が見え、イギリス本土が見え、帰るべき基地の滑走路が見えてきます。管制塔の女性の声が聞こえてきますが、このB-17の識別番号もわかりません。エンジンは今にも止まりそうな2基のエンジン、爆弾倉ドアは開けっ放し、失速の危険があるので着陸脚は降ろさず胴体着陸を決意します。燃料がほとんど空なので爆発の心配は少ないはずです。
 彼は滑走路に滑り込ませ、エンジンを切り、滑走路ギリギリの距離をつかってなんとか着陸することができました。急いでパイロットを引きずりだし、駆けつけた救急車の前に座り込みます。

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 そこで疲労困憊のせいか、すぐに意識を失い、ベットの上で目覚めますが、パイロットはその後、彼にお礼の言葉を残して残念ながら息を引き取りました。

 

 事情聴取に来た情報将校に、機内にいた第三の男の存在や、ありのままを語りますが、将校は「幻覚などは戦場ではよくあることだ」と言っただけでした。
 しかし彼は、自分に起きたことを信じます。凄まじい対空砲火や戦闘機からの攻撃から守ってくれた母親たちの祈りや、見えない神に感謝をします。彼はこの功績により、銀星勲章の授与と長期休暇を貰えることになりました。(銅星勲章5個で銀星勲章がもらえる)

 著者のM・ケイディン氏がこの話をとりあげることになった理由は、彼に起きた不思議な現象もそうですが、何よりも彼、ロバート・オズボーン軍曹がパイロットの代わりにB-17を操縦して戻ってきたという厳然たる事実に驚いたからです。
そんなことは、現実的にあり得ない・・・。
 射手であった彼は、訓練経験の中では副操縦席に座って操縦をしたことはあるそうです。しかし離着陸などやったことはありません。

 著者のM・ケイディン氏も、B-17の豊富な操縦経験を持っています。そして彼はこの一件を仲間のB-17のクルーに話したことがあります。


「ドイツ上空で猛烈な対空砲火と戦闘の迎撃のために一機のB-17が深刻な損傷を受け、搭乗員全員が機外に脱出、瀕死のパイロットと球形機銃座射手一名が取り残された。
 機体の負担は深刻でエンジン2基は停止し、爆弾倉は開きっぱなし、そして機体も翼も砲火のために穴だらけ、そしてその機銃座射手に操縦資格はなく、もちろん離着陸の経験もなし。
 その射手がそんな状態のB-17を操縦し、ヨーロッパを横断してイギリス本土に辿り着き、飛行場を探しだして見事に胴体着陸をやってのけ、機体が停止するとパイロットを機外へ担ぎだして運び、射手自身はかすり傷ひとつ負わずに済んだ。これをどう考える?」


 最初の一人の反応は素っ気ないものでした。「君は頭がどうかしている。正気じゃないぞ」
二人目は「馬鹿か?君が自分の小説にそんなシーンを入れても認める奴はいないぞ」
三人目、「何のつもりかしらないが、馬鹿な事を考えるのはよすんだね」

 これが実際にB-17を飛ばし続けた彼らのリアルな現実だそうで。どう考えても四発の大型爆撃機を操縦経験のない人間が着陸することさえあり得ないのにエンジンが半分止まった状態で・・・。たとえ、全てのエンジンが回っていたとしてもたった一回のチャンスで着陸を成功させるなんて・・。
 こんな事は起き得ない。でもそれが現実に起きている・・・・。

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画像は、「Great Planes - Boeing B-17 Flying Fortress」、
映画「フライング・フォートレス」、映画「メンフィスベル 」から

 


 管理人も、たとえ、射手である彼の見たもの感じたものが幻であったり、目の錯覚であったとしても、操縦経験のない素人の人間がボロボロで片肺飛行の危険な状態の大型飛行機を何時間も飛ばして胴体着陸をやってのけるなど、あり得ない確率だと思います。でも現実にやってのけた・・・・。人間の極限状態での可能性ってすごいものがあります。 うーん、現実は小説より奇なりです。

 この後、オズボーン軍曹は長期休暇の後、再び任務につきますが、1944年にB-17を撃墜され今度はパラシュートで脱出、ドイツ軍の捕虜となり終戦まで収容所に入れられます。
 しかし、このオズボーンという方、四度の撃墜されるほどの激しい攻撃に会い、すべて無傷で生還したことを考えると、本当に目に見えない何かに護られてるのではないかと思わざるおえません。幸運だけでは済まされない何かがあるようです。

2011年公開「フライング・フォートレス(Fortress)」予告映像

B-17の記録映像

 

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