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接触したのは"四十年前"の複葉機だった。

今回も「空の上の超常現象」という書籍から紹介します。

接触したのは"四十年前"の複葉機だった。


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 アメリカ中西部の空を彼はパイパー・チェロキーで飛んでいた。

 天候はほぼ快晴。雲はまばらであちこちに流れているだけ。彼は手にれたばかりの操縦免許証で大空という遊び場を存分に楽しんでいた。
 彼は雲の壁の周りを飛び、その向こうにある広大な空間を出た途端!その真正面から一機の複葉機が太陽の光を浴びながら逆方向に彼と同じことをやろうとしているのに気がついたのである。

 向こうも気がついていないらしく双方の距離はたちまち危険なほど詰まってきた。
  同時に気がついた双方のパイロットは、生か死かの瀬戸際に立たされたパイロットがとるべく行動を即座にとった。
 右の方向舵を目一杯踏み込み、操縦桿を右に 一杯まで倒して相手をなんとか右にかわそうとしたのだ。危機一髪、両機は翼端が擦りあうだけで済んだ。あと数センチ、お互いが近ければ双方の翼は剥ぎ取ら れていただろう。恐怖の只中で、彼は一瞬すれ違った機体がニューポール・・・ニューポールの28型ではないかと思った。
 こんな所に第一次世界大戦当時の複 葉機が?しかし、それはあり得ることだった。往時に活躍した機体を復元して飛ばそうというマニアは沢山いたからである。

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(画像は同型機のニューポート28)

 
 しかし、そんなこ とを考えている時ではなかった。咄嗟の乱暴な回避操作のために機体は錐揉みに突っ込んでしまったのだ。彼はとっさにスロットルを全開にしてスピンの反対方 向へ舵を踏み込み、なんとか錐揉みから脱出することに成功した。機体のコントロールを取り戻すと、彼は深刻な思いで機外に目を走らせた。眼下のどこかに さっきの複葉機が落ちていないか・・・残骸がないか。煙は上がっていないか。彼は大きく旋回をしながら痕跡を探そうとした。

 彼は次に、最寄りの飛行場を無線で呼び出し、今起きた出来事の時間と位置、内容を逐一報告した。もし、あの機体が撃落していればともあれ緊急の手配が必要である。彼は所属の飛行場へ進路をとりそのまま着陸をして今起きた出来事をみんなに説明した。
 飛行場のオペレーターたちは彼の操縦してきたチェロキーを見た。間違いない。確かに塗料が剥げ落ちている。鮮やかに塗装されたチェロキーの赤と白の塗装が剥ぎ取られているのである。
 しかし、翼端を擦ったという他機からの連絡もない。消息を絶った飛行機、パイロットの通知もない。


 彼の不思議な話を又聞きした仲間は物笑いの種にした。彼が新人パイロットであることから、チェロキーの翼端を飛行場のおフェンスか、滑走路の照明灯柱にでも引っかけたんだろう、しでかしたドジをカバーするのにそんな話を考えだしたんじゃないのか・・・・という訳だ。
 もともと気のいいこの若者はそれ以上突っぱらなかった。しかし、間違いなく彼はその複葉機と出会ったのだし、翼端が衝突した時の衝撃もちゃんと覚えていた。

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  それから二ヶ月ほど経過した。地元の飛行クラブは、古い飛行機を見つけてそれを復元して飛ばそうということで、その持ち主を探していた。この辺りには、納 屋に飛行機をしまっている農家がかなりあるのだ。彼らは第二次大戦のF4Fワイルド・キャットを発見したことさえある。持ち主である主人はその艦載機を ちゃんと飛ばしていたのだ。
 
 そして・・・・。
どこそこの村のさる農家の納屋にとても古い戦闘機が入ったままになっているという風の噂を頼りに、クラブのメンバーはその農家を捜し回りついに突き止めた。
 主人に見せて欲しいと頼むと、見せるのはいいが、その機体は納屋に入れてからずっとそのままだから酷い状態になっているという。
  だが、古い飛行機の復元に燃える彼らにとって不可能はない。いやむしろ困難であればあるほど燃えるというものだ。納屋に入った彼らは驚きに息を呑んだ。飛 行機はそこにあった。それはニューポール28型機だった。いや、それは第一次世界大戦当時に活躍した複葉戦闘機というより、その"名残"に過ぎないという 方が正確だった。タイヤは潰れ、布張りの翼や胴体は朽ちかけ、エンジンは錆び付いていた。多分四十年は人の手が触れられていないに違いない。
 それでも彼らは狂喜して、感動に目を輝かせ、埃だらけの古めかしい機体をそっと撫でてみたりした。彼らは主翼の左側へ回り込んだ。そして突然、足が凍りついたのである。口もきけないほどの驚きだった。
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  そのニューポールの左主翼の翼端、歳月に朽ち果て、鉄と布の残骸に過ぎぬ太古の戦闘機の翼端だけが、なんと、つい最近なにか硬いものに擦られたような生々 しい状態になっていて、よく見るとそこに信じられぬほどの鮮やかな赤と白のペイントがこびりついていたのである・・・・・。

 もちろん、彼らはチェロキーを 飛ばしていた新米パイロットの彼の一件のことをよく知っていた。もちろん彼をコケしにした口である。一人はその鮮やかな色のペイントを慎重にこそぎ取った。もう一人はそっとコクピットに入り込み、その中からカビだらけで厚い埃に覆われ醜く傷ついて黄色く変色した飛行日誌を慎重に取り出したのだった。

 これ出来事では次の二つの事実が判明したが、いずれも嘘偽りのない事実である。
 まず彼らは、ニューポール戦闘機の翼端からこそぎ取ったペイントのサンプルを権威ある研究所に送ってそのタイプと年代の測定を依頼した。そして別にチェロキーの主翼から削りとったペイントもサンプルとして送った。
 その二つのサンプルはぴたりと合致した!同じものだったのだ!
  もうひとつ。彼らはニューポール戦闘機のコクピットから取り出した飛行日誌の最後の部分を特に慎重に読んでみた。そして別の研究所にそのページを送り鑑定を依頼した結果”三十年以上、多分、四十年は経過している”という報告を受けた。”紙質、使われているインク、すべて間違いなく非常に古いものである”
 彼らは全身に冷水を被ったような恐怖に襲われた・・・・・。
 その機体が最後に飛んだ記録は飛行日誌の末尾になっている訳だが、ニューポールのパイロットは、その時、危うく空中衝突を引き起こすところだったと書かれていたのだ。”赤と白に塗装された、これまでに見たことも聞いたこともない形の飛行機と・・・・・・


  いかがでしたでしょうか。すでに飛べなくなってスクラップと化している複葉機と空で空中衝突しかけた。どちらかがタイムスリップして接触したとしか思えない不思議な話ですね。実は第二次大戦の時も、複葉機があり得ない速度で現れて爆撃機の編隊に突っ込んでいく姿を何度も目撃されているというパイロットたち の証言もあるそうです。それとUFOなどの目撃証言も。

 空はロマンをかきたてるだけではない、何か超常現象が起きやすい空間なのかもしれません。

 ちなみに原典では「ニューポート(Nieuport)」 と記載されていましたが、飛行機ファンでは「ニューポール」の方をよく使用していますので改めさせていただきました。

 ニューポール28は、 第一次世界大戦のフランスの複葉戦闘機でアメリカの戦闘機部隊が最初に使用した戦闘機として有名です。300機ほど生産されていました。アメリカの農家で は飛行機で農薬を散布する豪快な方法ですので、戦闘機でもなんでも頑丈で安い軍のお下がりはもてはやされたようです。

 パイパー・チェロキー(PA-28)は、1960年から現代も生産されている軽飛行機です。飛行訓練、エアタクシー、自家用機などを目的として設計された軽飛行機のファミリーで、パイパー・エアクラフトが製造しています。


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